海外の博士課程の学生はお給料が出て、無料で勉強・研究ができる。
って言いますよね?(ぼくも言いました)www.musachicago.com
ほんとなの?っていう疑問をお持ちの方も多いと思います。
ある意味本当です。でも実際来てみると思ってたのとも少し違っていました。
その辺をクリアにしていきたいと思います。
留学に必要なお金
留学には当然お金がかかります。まず必要な額について。
アメリカの場合、物価は日本に比べてだいぶ高い印象です。
しかも毎年上がっていきます。
基本それに合わせて給料も上がっていくのです。
ここでは私の通う大学のPhD学生のケースを紹介します。
授業料
授業料は私立だとものすごく高いです。今年の授業料は昨年よりも20万円ほど上がり約700万円(7万ドル弱)。
ほぼ最初の二年間(1.5年)しか授業はありませんが、こんなにかかります。
高いですね。日本では国公立大学の授業料が高いとかいう話も出ていますが比べ物になりません。
州立大などは100万円程度の授業料のところもありますが、逆に学校が授業を開けない→生徒が授業を履修できない→単位が取れず卒業できないという悪循環が起きているところもあると聞きますのでそのあたりは注意した方がよいです。
こんなに高額な授業料ですが、トップスクールであれば全額を自腹で払っている人は少ないので安心ください。
生活費
シカゴ周辺は基本的に物価が高いです。こっちに来て感じるのは日本の物価がかなり安いということだと思います。
そしてアメリカにはチップという制度も存在することを忘れないでください。
外食に行けばおいしくない食事でも2000円以上は簡単に飛んでいきます。
家賃は寮のワンルーム(築数十年、15㎡ほど)でさえ10万円程度($900)
ということでPhDの最低賃金としておよそ30万円($2800)が定められています。これも場所によって違いますし、基本物価の上昇とともに毎年少しづつ上がります。
まあ年収400万円程度ですが,学ばせてもらいながらお金をもらえるので文句は言わないことにします。
保険料
アメリカでは自分で保険の契約をする必要があります。学生用の保険があって、学校が払ってくれるところが多いと思いますが、もしそうではない場合、または家族がいる場合などは学生でも自腹で年30万円/人(これでもだいぶ安い)ほどかかります。
合計
ということで上の三つを純粋に足し算をすれば、合計では毎年だいたい1000万円ほどになります。
PhD課程が大体5年かかると考えると、、、家が買えます。
さてどのようにこれだけ巨額のお金を準備するかが問題です。
基本的に実際全額を自分で払っていく人は少ないです。
しかし、その中身はさまざま。
さらに場合によっては、条件付き(金銭の補助なし)合格などの通知が来ることもあるので、しっかり仕組みを把握しておく必要があります。
主に以下のような方法が考えられます。
留学費用の調達方法
RA、TA
まずよく言われるのがRA(リサーチアシスタント)、TA(ティーチングアシスタント)になります。
研究や授業をお手伝いすることで授業料と生活費が研究室(教授)または学科から出るパターンになります。
アメリカに来る前は
「入学すればなんだかんだ、RA,TAで養ってもらえるからなんとかなる」
と思っていましたが、現実は少し違います。
一つはスポットが限られているということ。開かれる授業の数も、研究室の予算も限りがあります。
上記のように条件付き合格というのはこの制度では雇えないけれども自腹で来れるなら来てもいいよという何とも上から目線な合格通知なのです。
もう一つはかなりの時間がとられてしまうということ。
RAは基本的にスポンサーがいることなので例えばお金を出している会社がやりたい研究を(自分の興味、プロジェクトの将来性等にかかわらず)やらなければなりません。
また入りたい研究室があってもそこの研究室が予算の関係で今年は1人しか学生を取らないといったことも頻繁に起こります。(希望の研究室に行けない)
TAは授業を手伝うわけですがこちらの学生は本当に熱心で毎週何時間ものOffice Hourに加えて、めちゃくちゃな量の質問メールを受け取ることになります。
これらの雑務に時間を取られいつまでたっても研究ができない、卒業できない、では本末転倒です。
つまりTA、RAとして給料が出るというのは本当です。が、その場合は労働力としてその働きに対しての報酬が支払われているというごく自然な関係が成り立っているわけです。またRA、TA付きの合格であっても希望の研究室に入れるかどうかは自身の財政状況に非常に大きく左右されます。
これらのお金の流れはおそらく学校によって異なりますので、給料が出るから大丈夫!ではなくて学校を決める際にはどのような仕組みになっているかをしっかりと確認しておく必要があるでしょう。
奨学金
ではどうするか。奨学金を自分でもって来るのがベストです。
ここでいう奨学金とはもちろん返さなくていいものを指します。
自分でお金をもってくる場合は研究室の事情によらず、自分のやりたい研究をやりたい研究室でできる可能性が明らかに高くなります。
雇う側(学校、教授)としても安く労働力が手に入るわけですから、メリットは大きいです。
アメリカ国内の奨学金はアメリカ国民しかもらえないものも多いですが、日本にもいくつか学位留学者を支援する奨学金があります。(学位留学 奨学金 などで調べてみてください)
奨学金を取るまでのプロセスは大学に出願するプロセスと似ているのでその予行演習としても自分が出せる奨学金にアプライしてみることを強くお勧めします。
自腹(バイト+親の支援)
短期留学、語学留学ですとバイトでお金を貯めたとか親に支援してもらってとかいうことをよく聞きます。
ですが上で述べたような学位留学に向けた大金となるとかなり現実的には厳しいのではないでしょうか。
ですがもし一校しか受からず全額払わなくてはいけなくなった時はこれしか手がないかもしれません。
全額は無理でも一部を学校に支払ってもらうとか奨学金でカバーするとかして負担を減らせば何とかなるかもしれません。アメリカは無理かどうかは別として言ってみることが大事なので受かったのであれば交渉の余地がないか学校に連絡してみるのもありだと思います。
かじれる親のすねがあるのであればかじらせていただく、何とかバイトでお金を貯めることによって、一年分のお金を確保する。その一年で実力を証明し、RAのポジションを確保するくらいの気概で勝負をかけることもできます。
いずれにしても状況は厳しいですが、決して無理ではないのであきらめないでほしいと思います。
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まとめ
お金の出どころや仕組みは各大学によって異なります。
例えばぼくの大学では研究室が決まるまでの最初の一か月は学科からFellowshipというかたちで全PhD学生に生活費がもらえます。二学期以降は配属された教授の資金からRAまたはTAとして働き給与をもらうことになります。
こういった仕組みは学校選びの際にも重要になりますし、合格通知にどのような条件(通常は給料の額まで書いてある)が書かれているかを確認するのも重要です。
自分は幸運にも奨学金をいただけています。
渡米前にはお金が出るといわれている情報を信じ込み心配してはいなかったのですが、実際にこっちに来てみるとこの奨学金がとても助けになっていることを実感しているので今回の記事を書かせていただきました。
結論、お金が出るのは本当ですが、どこからそのお金がやってくるのかをしっかりと把握して、対策を取っておくことが大切です。
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