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シカゴ留学日記

アメリカの授業は本当にすごいのか?大学の授業の工夫と仕組みについて[アメリカ留学生活]

ネットやテレビとかでも話題になることも多いアメリカ大学の授業。TA目線から見た、アメリカ大学学部の授業の雰囲気をお伝えしたいと思います。

 

 

 

学部の授業(TA目線から)

”ハーバード何とか教室”とか”MITで一番人気の授業”とか言う見出しを日本の書店、TV等ではよく見ます。今回は私の経験から感じたアメリカの授業について書かせていただきます。

 

いい授業とは?

これはかなり難しい質問です。とくに学部の授業では専門も分かれていないため、個人のレベル、興味も異なり、全員に合わせるのも現実的ではないようにも思います。

 

ただ楽しいだけでもダメだし、スパルタでどんどん教えてもついてこれなかったり、内容を嫌いになってしまっては元も子もない。先生方も悩み続ける問題だと思います。生徒の知識をのばしつつ、その学問の楽しさを伝えることが一番の目的なのかな。

 

そのうえで、オンライン授業やTAといった授業自体以外のシステムを充実させることであきらめたり、ついてこられなくなったりする生徒をできる限り減らすシステムをつくること。これによって生徒全体の伸び率を最大化するのも大事だと感じました。

 

今回TAをやらせていただいたイントロダクションのクラス(学部2-3年生向け)が非常にうまくオーガナイズされていて、こういうシステムが広がっていくといいと思ったのでシェアさせていただきます。

 

授業の流れ

日本との違い

まず、授業といっても週に一回90分のクラスがあるのとは全く違います。アメリカの大学はクウォーター制のため授業自体が週に3-4回あることも多いです。日本よりも短期集中のイメージ。

 

それもあって宿題の量がえげつない。アメリカの先生はすごいんでしょ?っていう問いに対しては「まあ、面白い人、教えるのがうまい人もいるけど先生によるから何とも言えない」っていうのが正直なところ。ですが一番違うのは宿題によって”やらされる”ということ。結局は自分でやらないと身につかないってことが身に沁みました。

 

さらにTAの仕事も大きく、先生とTAが協力して生徒を指導していきます。(日本にもTAはいるがもっと単純な採点などが主だった記憶)

 

TAの仕事については以下の記事を参照↓

www.musachicago.com

 

それに加えてWebを使ったオンライン授業や質問掲示板なんかも駆使して、教える側の仕事を最小化、教わる側の理解を最大化する方法を先生方が模索しているのが印象的でした。

 

 一週間の流れ

毎年徐々に変化しているようですが、2019年春はこの流れでした。もちろん、クラスによっても先生によっても違いますが、ぼくの経験上、一番オーガナイズされている気がしました。

 

イントロの学部生向けのクラス。生徒120人、TA4人、週3回90分。先生がTeaching Professorだったのも授業に時間をさけている理由かもしれません。

 

1. 各クラスの前にはオンライン上にアップされた10分程度の動画を見る。クラスで扱うトピックを事前に学習することによって知識の底上げ、統一を図る。


2. 動画を見ていれば簡単に答えられるオンラインクイズを授業前に回答。生徒が動画にちゃんと注意を払うように(成績の5%)


3. 授業。週3日各1時間半。対面で説明した方がいいところ、オンラインだけではわかりにくいところや生徒からの質問に回答することに注力。毎週90分3回


4. 宿題。教科書の章末問題の抜粋。結構な量。おそらく解くのに3-5時間程度はかかる?(成績の5%)

 

5. TAによるOffice Hourは4人のTAが分担して毎日開かれる。生徒は宿題や授業の内容について質問があればいつでも聞きに行くことができる。

 

6. Discussion。次の週の月曜日に復習と少しレベルの高い問題を解く場としてTAによって行われる1時間のクラス。(出席が成績の5%)


7. 小テスト。Discussionクラスの最後に理解できているかを確かめる10分程度のテスト。宿題より少し難し目。(成績の10%)


これが大体一週間の流れです。文字にすると細かく段階に分けられているのがよくわかるのではないでしょうか。6-7があるためただ宿題を解くだけではなく、内容を理解するように求められます。

 

月曜日の授業から新しいトピックを扱い始めて、次の週の月曜日にはDiscussionで一区切り、次のトピックが始まるという感じ。つまり月曜日には先週の復習をしながら新しい単元に入るイメージ。だいぶ忙しいです。

 

1-7のサイクルをたった1クウォーターの間に10週ほど繰り返し、さらに約二か月の間に試験を3回(各テストが成績の25%程度)行うので学生からすると次々にテストと宿題に追われる気分でしょう。でもその分短い期間ではありますが問題量と徹底した繰り返しによって身につく知識量は多く、定着率もかなり高いのではないかと思います。

 

その他の工夫

興味を持たせる

授業の最初にToday’s applicationというコーナーを作り、実際に役に立っている科学について話をしたり、Concept checkという形で生徒と一緒に問題を解いていくことで一時間半の授業が間延びしないような工夫がされています。

 

オンラインシステム

Office Hour以外にも、疑問をもったらいつでも質問ができるようにオンラインシステムが使われています。

 

クラス内でシェアされたページ上で問題のPDFが公開され、質問とそれに対する先生、TAからの回答が公開されているため、宿題に関する疑問や採点に関する質問をいつでも閲覧できるようになっています。

 

ほかの学生が同じ疑問を持ったらまずこのオンラインシステムをチェックするので、教授とTAは同じ質問を何度も何度もメールで答える必要がありません。こういった効率化によって教える側の不要な負担を減らし、必要なところ(Office hourやGrading)により時間を使えるという意味で便利な仕組みだと思います。

 

まとめ

今回紹介したクラスのインストラクターである教授はTeaching Professorということで主な仕事は研究というよりも仕事量の多いクラスを受け持ち授業を行うことです。そのため授業すべてがここまでオーガナイズされているとは思いませんが、自分の受けてきた授業と比べても、うまく構成された講座だと思ったので紹介させていただきました。

 

こっちでもつまらない授業はたくさんあるし、日本とどちらがいいと聞かれても正直難しいです。それでも、毎年いろいろな工夫をして生徒に少しでもわかってもらおうと毎年試行錯誤をしている先生方も多いのでそういった情報が学校とか国とかに関係なく広がっていけばいいなと思います。

 

テスト一辺倒ではなく、興味をはぐくみつつ、知識を増やしていく方法は、学問から研究へとつなげる役割を持つ大学ではより重要になるのではないでしょうか。

 

www.musachicago.com

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