最近はサッカーのワールドカップに熱中。そこで強く実感したことがあります。
今の日本代表は、一昔前とは違います。「大国相手に奇跡を祈る」だけのチームではありません。とても落ち着いています。自分たちの強みである組織力や戦術理解を、明確に把握しています。その上で、したたかに世界と渡り合っています。
理由は明確です。選手のほぼ全員が海外リーグでプレイしているからです。世界のリアルなカルチャーを肌で知っています。 だから審判のジャッジにもただ従いません。「なんでだよ」としっかり主張します。グローバルスタンダードな振る舞いで、自分たちに有利になるよう交渉(ネゴシエーション)すらします。
- ビー玉が転がる床と、割れた卵が当たり前の世界
- 「ドイツ人は勤勉」という幻想
- 日本の生活クオリティは完全にバグっている
- 「優秀なのに勝てない」日本企業への処方箋
- もっと海外を知り、日本の強みを主張しよう
私は20歳を過ぎるまで海外に出たことがありませんでした。いわゆる「純ジャパ」です。 しかし、そこからの約15年間のうち、半分以上は海外で過ごしました。アメリカに約5年、ドイツに約3年です。
世界に出て、現地で生活しました。そこで初めて分かったことがあります。 それは「日本人の凄さ」です。そして「日本のカルチャーの異常なまでの質の高さ」です。
今、日本の社会が復活するために一番必要なこと。それは、この「日本の基準の高さ」を客観的に知ることです。今回は、私の実体験からその理由をお話しします。
ビー玉が転がる床と、割れた卵が当たり前の世界
日本の清潔さやインフラの細やかさは、世界的に見て「異常」です。 家も、街も、道路も本当に綺麗です。他国とは全く比べ物になりません。
アメリカなどは基本的に土足文化です。地震も少ないため、築50年〜100年のアパートが当たり前にあります。 私が借りていたアパートもひどいものでした。当時の家賃で10万円以上する、そこそこの物件です。
しかし、床にビー玉を置くと勢いよく転がっていきました。ものすごい傾きでした。 点検業者に「床が傾いている」と伝えました。しかし「ま、そんなもんだよ」で終わりです。そんな環境で1年半も生活しました。
スーパーの食材売り場でもカルチャーショックを受けます。 アメリカでもドイツでも、果物や肉の周りにハエが飛んでいます。これは日常茶飯事です。イチゴにカビが生えているのも普通です。傷んだ食材も平気で並んでいます。お客さんが気をつけて選ぶのが基本です。
卵を買う時は必ずパックを開けます。「割れていないか」を一つひとつ確認するためです。そうしないと、10%〜20%の確率で割れた卵を掴まされます。 日本では「卵を生で食べられる」のが当たり前です。しかしこの衛生管理や製造プロセスは、世界から見ればとてつもない奇跡なのです。
「ドイツ人は勤勉」という幻想
「ドイツ人は勤勉だ」とよく言われます。しかし日本と比べると、全くそんなことはありません。
例えばドイツのお店。17時閉店の場合、16時半頃から半分シャッターを閉め始めます。もう締めの作業に入っているのです。 17時ギリギリに入店すると、露骨に嫌な顔をされます。日本のように「少し過ぎても笑顔でいらっしゃいませ」なんて絶対にありません。
ある日系企業で働くドイツ人エンジニアの話も強烈でした。 現場でクーラーの修理を任されました。しかし彼は手順書を読みませんでした。適当に作業をして、クーラーを壊してしまったのです。 さらに驚くことに、定時になった瞬間「時間だから帰りましょう」と言い出しました。
アメリカのスーパーのレジ係も同じです。椅子に座って接客します。それは良いのですが、片手でスマホをいじっています。こちらの顔も見ずに「どれがいい?」と聞いてきます。 長蛇の列ができていても、急ぐ気配はゼロです。ただただ、だるそうに仕事をしています。
海外の方が給料は高いかもしれません。しかし彼らにとって仕事は「お金をもらうためだけのもの」です。 給料の額に関わらず、丁寧で細かい仕事をやり切る。ルールは絶対に守る。この日本人の責任感は、世界的に見て圧倒的な強みなのです。
日本の生活クオリティは完全にバグっている
この勤勉さは、あらゆる製品やインフラに直結しています。
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100円ショップ: あのクオリティの製品は、海外なら絶対に1000円以上します。圧倒的に安くて高品質です。
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食の豊かさ: 500円〜1000円で、美味しくて安全なご飯が食べられます。中華もフレンチもイタリアンも安くて美味しい。一方、アメリカの安い冷凍食品はひどい味です。冬の野菜は美味しくないし、変な化学薬品の味がすることすらあります。
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車の状態: 日本は綺麗な車しか走りません。しかしアメリカでは、バンパーが取れた車が平気で走っています。窓ガラスが割れていたり、サイドミラーがぶら下がっていたりします。「ブレーキが壊れたけどアクセルだけで帰ってきた」という人もいました。「警告メーターが1ヶ月出っぱなし」の車を売ろうとする人もいます。
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インフラの稼働率: 海外ではエスカレーターやエレベーターの2〜3割は壊れています。動いていても、大きく揺れたり音がうるさかったりします。以前、アメリカ西海岸で1泊3万円のホテルに泊まりました。10階建てなのにエレベーターが壊れていました。1週間の滞在中でまともに使えませんでした。
海外は良くも悪くも「適当」な世界です。しかし日本人はそれを許しません。メンテナンスを徹底し、モノを綺麗に使います。 給料こそ上がっていないかもしれませんが、日本の「生活のクオリティ」は今でも間違いなく世界トップクラスです。
「優秀なのに勝てない」日本企業への処方箋
一人ひとりの日本人は本当に優秀です。勤勉で、製品のクオリティも圧倒的です。 それなのに、なぜグローバルで勝てない企業が増えているのでしょうか。アメリカや中国にシェアを奪われています。
例えば、1000万円のスイス製時計と、100万円の日本製時計を比べてみます。 定時で絶対に帰る職人と、残業してでもやり切る日本の職人。後者が作った時計の方が、精密で性能が良いかもしれません。人件費も安く抑えられています。 モノづくりの観点では、もっと自信を持てるはずです。それなのにブランド力や売上で負けています。
足りないのは「したたかさ」です。 世界の適当なスタンダードを知る。その上で、自分たちを高く売り込む。有利になるよう主張し、交渉する。このマーケティングやコミュニケーションの力が足りないのです。
これは冒頭のサッカー日本代表と同じです。 上の言うことにただ従うのは日本の美徳です。しかし海外では通用しません。ルールの範囲内で、いかに自分たちを有利にするかを考える必要があります。
もっと海外を知り、日本の強みを主張しよう
私が今一番危惧していることがあります。それは、コロナ禍や円安の影響で、日本人の留学生や海外旅行者が圧倒的に減っていることです。 海外の文化やスタンダードに触れる機会が減っています。これは、日本がグローバルで存在感を失う大きな原因になります。
エンジニアも、研究者も、ビジネスパーソンも、もっと海外に出てほしい。 外の世界の「適当さ」を肌で感じてください。そして日本の「異常なほどの質の高さ」を客観的に理解してください。 その上で、堂々と世界とコミュニケーションを取りましょう。自分たちの強みをしっかり主張していくのです。
ヨーロッパで揉まれた選手たちが、サッカー日本代表を強くしました。 同じように、一人ひとりの日本人が海外に出る。自分の武器を主張し、戦えるようになる。それが、今の日本のモヤモヤした状況を打ち破る大きな一歩になるはずです。
皆さんは、海外とのギャップを感じた経験はありますか? ぜひ、コメント欄でエピソードやご意見を聞かせてください。