毎年恒例の世界大学ランキングが発表されました.そんなの関係ない!なんて気にしてないふりをしてもなんだかんだランキングがきになるなみなさん.留学を考えている人は問題点も理解したうえであくまで参考程度に使いましょう.
毎年恒例の世界大学ランキング.今年も取り上げられていました.
有名どころはTHE(Times Higher Education),QS Ranking(QS World University Rankings),上海交通大学(ARWU),US news(アメリカ国内)でしょうか.
先日発表されたのはTHEのランキング.ニュースでは東大がいくつ上がって...何位以上に日本の大学が...といったものがいつも通りの感じであーだこーだといわれていました.
日本政府はこのランキングをもとに100位以内に何校といった目標を掲げたりしています.もはや一ページ目(25位まで)には日本の大学は一校もありませんが.
このランキング,今回はどこまで意味があるものなのか,学位留学先を決める際にどこまで参考にしていいものか見ていきたいと思います.
算出方法
まず見ておきたいのが算出方法.ランキングという名前に惑わされがちですが,評価項目は学生対教員比,論文引用数,国際性,評判調査など多岐にわたります.
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そしてこの重みが各社によって,また毎年変更されることを認識しなければいけません.
発表する側は注目を集めるためにこんな学校が急上昇!どこどこの革新的な教育方針が!などといったドラマティックな演出を求めます.そして実際にそれを作り出すような重みづけをします.
一方で学校側はこの順位を高めることで入学者数を増やしたい,グッズの収益を増やしたいといった様々が思惑が絡んでいます.広告費が世相を左右する時代にこのランキングが持つ意味は思った以上に大きいのです.しかし,それが正確な実態をつかむのを難しくしている面もあります.
どの程度参考になるのか
じゃあそんなランキング参考にしなくていいよね.ってなりますよね.
でも個人的にはそうとは思いません.
研究の評判(アンケート)という何ともあいまいな基準であれど,研究をしているのが人間である以上,研究者内での印象というのがコラボレーションの結果,研究成果と多少の相関があることは間違いないだろうし,ランキングに目を付けられないような学校で学位を取る意味はない(日本でやった方がいい)と思うからです.
また分野ごとに順位が大きく異なるのにも注意しましょう.大学ごとに力を入れている主力学科があるので,そこをチェックすることで自分のやりたいこととマッチしているかを確認することができます.
よく言われるのは分野で上位20位以内とか.(あくまで参考)これぐらいであればそれなりの施設とレベルが確保されていて,就職時,卒業後のポストを探すのにも多少大学名が効くかなといったところ.
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またもう一つランキング上位の学校を選ぶ理由として,留学中の心の支えになるということがあげられます.
つらい留学生活の中ではメンタルがやられることもあるでしょう(笑)
そんな時に世界のランキングでもこんなに高い環境なのだからこのくらい当たり前かと自分を納得させられるのと,まだまだ上があるのにこんなところでもやっていけないのか,となってしまうのではメンタルの持ちようが変わるからです.
ということで頭のいい人ほどランキングなんか関係ないと思いたがると思いますが,そんなに強がらず少しは参考にしてもいいかなとおもいます.ぼくなんかより優秀な人が実際留学した先でメンタルが持たずやめてしまった例をいくつも見てきました.
注:この参考にというのはこの学校がここより一つ上だからとかではなくて安定して上位にランクされるクオリティの高い学校かどうかというところです.
もっと大事なこと
”大学”というスケールで研究するよりも”研究室”という限られたスケールで研究するのですからランキングより大事なことがあるのは明らかです.特に理系は.
PIの研究力を評価するのはまた難しい話なのでそのうちまた整理したいと思いますが,簡単に挙げられるだけでも論文,研究スタイル,研究費などこれもまた評価しづらい.
自分の身近になるであろう研究室の環境のほうが大学のランキングよりも重視されるべきです.まあ当たり前ですが.
以下のようなサイトも参考になるかと思います.
recognition.webofsciencegroup.com
ここにある研究成果,引用数もあくまで一つのファクター.さらには研究室の文化(マイクロマネージメント,放任主義)などが自分の性格に合っているかといったこともよく考える必要があります.
日本の大学について
個人的な印象としては日本の大学の研究という意味でのランキングは順位より高いと思います.国際化や研究費という面では大きく引けを取るにもかかわらず上位に食い込む力があるのはまだ研究の地力,学生の質が高いという事実があるからでしょう.
こちらに来て思うのは確かにアメリカのトップの教授の成果はすごいものがありますが,アメリカらしく幅が大きいということ(ピンキリ).学生のレベルもめちゃくちゃ頭いいのもいれば日本の高校生以下の問題も解けない生徒もいます.
私が感じるこういった印象もランキング50位以内(東大,京大と同等以上)のランキングの学校でないと研究という面において海外の大学に行くメリットがなくなるかもしれないと思う理由です.
ただ論文数などの数値で日本の大学が落ちてきているのは明らか."留学生が少なく国際化の項目で点が取れない"というのも言い訳としてよく聞きます.しかし,これは環境(お金,研究,生活レベル)で日本の大学が劣っているということを認めている証拠です.
もはや制度や運営で変えられる話ではないと思うので,町での留学生に対する受け入れ姿勢や,(外国人は入居できないアパートがあるといった例も聞きます.人種差別か笑)研究室にいる日本人学生の姿勢.日本語をしゃべれる,先に研究室にいただけでさも自分のほうがえらいと勘違いするような状況では一向に改善されないでしょう.
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まとめ
留学の際は大学という序列より,もっと自分に近い視点で中身を精査しないとこんなはずではなかったという結果になってしまうこともあります.とくに学部生はまだ研究に触れてない人も多いと思うので,今回扱ったようなランキングに惑わされすぎず,判断するように気を付けてみてほしいです.
しっかりと自分のやりたいことを見定め,研究内容,学びたい内容を調べているころには大学ランキングなんかはだいぶ低い割合を占めていることになると思います.