ラスベガスといえばカジノやショーが有名ですが、実は地元の人々に愛されるクラフトビール・ブルワリーも数多く存在します。今回は、旅行者でも訪れやすく、ローカルにも人気の高いクラフトビール醸造所を5軒厳選してご紹介します。各ブルワリーの雰囲気や歴史、おすすめビール、その魅力ポイントまで、やさしい口調でまとめました。ラスベガス滞在中にぜひ足を運んでみてくださいね。

- Able Baker Brewing Co.(エイブル・ベイカー・ブリューイング)
- Hop Nuts Brewing(ホップナッツ・ブリューイング)
- CraftHaus Brewery(クラフトハウス・ブリュワリー)
- Beer Zombies Brewery(ビア・ゾンビーズ)*旧テナヤクリーク醸造所
- Ellis Island Hotel & Brewery(エリスアイランド・ブリュワリー)
- 参考リンク
Able Baker Brewing Co.(エイブル・ベイカー・ブリューイング)
住所: 1510 S Main St Suite 120, Las Vegas, NV 89104(ダウンタウン・アーツ地区)
公式Webサイト: Able Baker Brewing
Able Baker Brewingの店内。小さなグラスに注がれたビールのフライトと、マスコットのアヒルが雰囲気を盛り上げます。※店内には無数のカラフルなアヒルの飾りが並び、Atomic Age(原子時代)をテーマにしたユニークな内装です。
ラスベガスのダウンタウン、アーツ地区の南端に位置するAble Baker Brewing Co.は、Atomic Age(原子時代)をテーマにしたユニークなブルワリーです。店名の「Able」と「Baker」はネバダ核実験で最初に爆発した2つの原爆のコードネームに由来し、店内には当時の写真や資料が飾られています。そしてマスコットは“Atomic Duck”と呼ばれるアヒル。このアヒルは伝説によれば核実験で唯一生き残った動物だとか!店内のあちこちにカラフルなアヒルのフィギュアが置かれており、遊び心たっぷりの雰囲気です。広々とした天井と明るいネオン、壁一面のチョークボードのビールメニュー、ピカピカの醸造設備など、訪れるだけでワクワクするような「ブルワリーらしさ」にあふれています。
もちろんビールの味も折り紙付き。常時30種以上のビールがタップで提供されており、ライトなラガーからアルコール度数10%を超えるバーレーワインやインペリアルスタウトまで幅広く揃います。中でも一番人気は看板ビールの「アトミックダックIPA」。強烈なホップの香りとほのかなモルトのコクが調和したウエストコーストスタイルのIPAで、ラスベガス土産にもピッタリの一杯です。可愛らしいアヒルが描かれた缶のデザインも思わず手に取りたくなります。
併設のキッチンではバインミーサンドイッチやクラフトバーガー、フィッシュタコスなどフードメニューも充実しており、食事と一緒に地元クラフトビールを楽しめます。ユニークなテーマとおいしいビールで、訪れる人を笑顔にしてくれる地元でも大人気のブルワリーです。
-
おすすめビール: Atomic Duck IPA(アトミックダックIPA), Honey Dip Stout(ハニーディップ・スタウト)など
Hop Nuts Brewing(ホップナッツ・ブリューイング)
住所: 1120 S Main St Suite 150, Las Vegas, NV 89104(ダウンタウン・アーツ地区)
公式Webサイト: Hop Nuts Brewing
Hop Nuts Brewingの店内バー。タップから注がれたビールと壁の黒板に書かれたビールメニューが、クラフトビール好きにはたまらない光景です。
Hop Nuts Brewingは2015年、ラスベガスのダウンタウン芸術地区(18b Arts District)で初めて誕生したクラフトビール醸造所です。「ホップナッツ(ホップ狂)」という名前の通り、ホップを利かせたビールが自慢ですが、実はモルト主体のビールなど様々なスタイルを楽しめる懐の深さも持ち合わせています。
定番で常に提供されているのは2種類。ひとつは「18bペールエール」で、松やトロピカルフルーツを思わせる香りが心地よい、クラシックスタイルのアメリカンペールエールです。もうひとつは「ゴールデンナイト」と名付けられたベルジャン・ゴールデンストロングエール。モルティでコクがあり、その名の通りラスベガスのプロアイスホッケーチーム「ゴールデンナイツ」にもちなんだ一杯です。これら看板ビール以外にもIPAからスタウトまで幅広いラインナップがあり、その時々の季節限定ビールに出会える楽しみもあります。
大きなバーカウンターに開放的なテラス席、そして日替わりでやってくるフードトラックがHop Nutsの魅力をさらに引き立てます。自前のキッチンはありませんが、その分ローカルのフードトラックとのコラボでタコスやBBQなどを持ち込んで食べることができ、ビールとのペアリングも◎。芸術地区という土地柄、周囲にはギャラリーやビンテージショップが立ち並び、週末には青空市(First Fridayなどのイベント)で賑わうエリアです。
ブルワリーの壁にも地元アーティストの作品が飾られていて、クラフトビールとアートの融合を感じられるのもポイント。観光客にとってもダウンタウン観光の途中に立ち寄りやすく、地元の常連さんとも会話がはずむアットホームな空気感です。ラスベガスでクラフトビール文化が花開くきっかけを作ったパイオニア的存在として、今も根強く愛されています。
-
おすすめビール: 18b Pale Ale(18bペールエール), The Golden Knight(ゴールデンナイト)
CraftHaus Brewery(クラフトハウス・ブリュワリー)
住所: 7350 Eastgate Rd Ste 110, Henderson, NV 89011(ヘンダーソン・ブーズ地区) ※ダウンタウンにテイスティングルームあり
公式Webサイト: CraftHaus Brewery
ラスベガス郊外のヘンダーソン市にあるCraftHaus Breweryは、コミュニティに根差した非カジノ系のブルワリーです。創業者の夫婦(デイブさんとウィンディさん)はヨーロッパ旅行で触れたパブ文化に影響を受け、2014年にこの醸造所を開きました。店名の「CraftHaus(クラフトハウス)」が示す通り、まるで家(Haus)に招かれたような温かみのある雰囲気が魅力です。
本店のあるヘンダーソンの“ブーズ・ディストリクト”(酒蔵が集まる地域)では醸造設備を間近に見ながらゆったり過ごせ、オープンエアのテラスやシャッフルボードなども備えた憩いの空間となっています。さらにラスベガスのアーツ地区にも支店のタップルームを構えており、ストリップ近くにいながら同社のクラフトビールを味わえるのも旅行者には嬉しいポイントです。
CraftHausは定番ビールのスタイルにも個性が光ります。例えばベルギー伝統の「サイゾン(セゾン)」を年間を通じて提供している、ラスベガスでは数少ないブルワリーの一つです(同社のサイゾンは“Evocation”という名前で、爽やかなレモンとスパイス香る一杯)。また、「Rebel Spirit Golden Ale(レベルスピリット・ゴールデンエール)」にも注目。こちらは地元大学UNLVの公式ビール第1号として醸造されたゴールデンエールで、売上の一部が大学への寄付に充てられるという地元愛あふれる逸品です。ラベルには大学のマスコットや校章がデザインされており、お土産にも喜ばれそうですね。ホップ好きにはウェストコーストスタイルの定番IPA「Resinate IPA」もおすすめです。松やシトラスの香りが弾けるキレのあるIPAで、その完成度の高さから年間を通じて愛されています。
毎年2月には「Comrade Day」と題したイベントでバレルエイジドのインペリアルスタウト数種を一斉リリースするなど、ビールの奥深い楽しみ方を提案してくれるのもCraftHausならでは。醸造家やスタッフとの距離も近く、ビール造りへの情熱やこだわりについて気軽に会話できるアットホームさも人気の秘訣です。ラスベガス旅行で本格的なクラフトビール文化に触れたいなら、ぜひ立ち寄ってみてください。
-
おすすめビール: Evocation (Saison)(エヴォケーション〈サイゾン〉), UNLV Rebel Spirit Golden Ale(レベルスピリット・ゴールデンエール)
Beer Zombies Brewery(ビア・ゾンビーズ)*旧テナヤクリーク醸造所
住所: 831 W Bonanza Rd, Las Vegas, NV 89106(ダウンタウン北エリア)
公式Webサイト: Beer Zombies Brewing Co. / Tenaya Creek Brewery
Beer Zombies Brewery(旧Tenaya Creek Brewery)の店内。タップルームでは多数の自家製ビールが並び、黒板に書かれたビール銘柄にはTenaya由来のものとBeer Zombiesオリジナルのものが混在しています。
ラスベガスのクラフトビールシーン創成期から活躍する老舗Tenaya Creek Brewery(テナヤクリーク・ブリュワリー)と、新進気鋭のビールブランドBeer Zombies(ビア・ゾンビーズ)がタッグを組んだユニークなブルワリーです。Tenaya Creekは1999年創業で数々の受賞歴を持つ実力派ブルワリーとして知られ、例えばピルスナーは全米最大のビール品評会「GABF」で金賞を獲得したこともあるほど高品質なビールを生み出してきました。
一方のBeer Zombiesはホラー映画さながらのゾンビをあしらった派手な缶アートと、ジューシーなヘイジーIPAなど最先端のスタイルで人気を博したブランドです。2023年末、このBeer Zombiesの創業者クリス・ジェイコブズ氏がTenaya Creek Breweryを買収し、自身のブランドと統合しました。現在はTenayaの伝統とBeer Zombiesの革新が融合し、両方のビールを一度に楽しめる醸造所として生まれ変わっています。
タップルームではTenaya Creek時代からの定番ビールも引き続き味わえます。例えばロースティなコクが魅力の「ボナンザ・ブラウンエール」や、飲みやすい「702ペールエール」は昔ながらのラスベガス地ビールとして根強いファンがいます。そこにBeer Zombies流の新作ビールが加わり、たとえばアルコール度数8%超えのヘイジーIPA「Zombie Duck Hunter IPA」や、すっきり系の「ブームスティック・ブロンド」などユニークな銘柄がラインナップされています。
店内の大型冷蔵庫には缶ビールもずらりと並び、気に入ったものはそのまま持ち帰ることも可能です。ゾンビが描かれた派手な缶は見ているだけでも楽しく、お土産話のネタにもなるでしょう。場所はフリーモントストリート・エクスペリエンスから車で5分ほど北西に行ったエリアにあり、観光客はライドシェア(UberやLyft)でのアクセスがおすすめ。周囲は少し雰囲気がありますが、店内は明るく開放的でスタッフもフレンドリーなので安心してビールを満喫できます。ラスベガスのクラフトビールの過去と未来を一度に味わえる、ビール好きには見逃せないスポットです。
-
おすすめビール: Bonanza Brown Ale(ボナンザ・ブラウンエール), Zombie Duck Hunter IPA(ゾンビ・ダックハンターIPA)
Ellis Island Hotel & Brewery(エリスアイランド・ブリュワリー)
住所: 4178 Koval Ln, Las Vegas, NV 89109(ストリップ東側すぐ)
公式Webサイト: Ellis Island Casino & Brewery
Ellis Island Breweryで提供されている6種のビールテイスティングセット(フライト)。ラスベガスでも屈指の良心的プライスで、多彩なビールを少しずつ味わえます。
ラスベガス大通り(ストリップ)から徒歩圏内にあるエリスアイランドは、地元民行きつけのカジノ兼ブルワリーです。ストリップの派手さとは一味違う素朴で家庭的な雰囲気から、「知る人ぞ知る穴場」として観光客にも密かな人気があります。
1988年に醸造を開始したこのブルワリーはラスベガスでも老舗中の老舗で、なんと年間100万杯以上ものビールを自家醸造し提供しています。定番のビアスタイルは6種類とシンプルで、ライトビール(ラガー)、アンバーエール、ヘフェヴァイツェン(小麦ビール)、ポーター、IPA、そしてノンアルコールのルートビア(自家製の炭酸飲料)です。最先端のトレンドビールには手を出さず、伝統的で飲み飽きない味わいを守り続けているのが信条。まさに「古き良き」クラフトビールが楽しめる場所です。
エリスアイランドが愛される一番の理由は、その良心的すぎる価格設定にあります。なんと6種類のビールが飲み比べできるフライト(テイスティングセット)がわずか6ドル、パイント一杯も2〜3ドル程度という破格の安さで提供されています。24時間営業のカジノバー併設という強みを活かし、いつ訪れても醸造したての新鮮なビールを楽しめるのも魅力です。店内には地元客がカラオケに興じるバーや、有名なステーキスペシャルを提供するレストラン「Village Pub」もあり、ビール以外のお楽しみも満載。
特に自家製ビールと一緒に味わうバーベキューリブやプライムリブステーキは絶品で、ローカルたちのお腹と心をしっかり掴んでいます。観光で歩き疲れた夜は、煌びやかなストリップを少し離れてエリスアイランドに立ち寄ってみましょう。安くておいしいビールと温かなサービスで、「ここがラスベガス?」と驚くほど居心地の良いひとときを過ごせるはずです。
-
おすすめビール: Hefeweizen(ヘフェヴァイツェン), Amber Ale(アンバーエール) ※自家製ルートビアも人気
参考リンク
-
「An Essential Guide to the 17 Best Las Vegas Brewery Tasting Rooms」(Eater Vegas, 2024年9月) - Able Baker Brewing Co.の原子時代テーマと代表ビールAtomic Duck IPAに関する記述
-
「Complete Guide to the 18 Best Las Vegas Breweries」(Boozing Abroad, 2023年更新) - Able Baker Brewingの店名由来(核実験とアヒルの伝説)および店内雰囲気に関する記述
-
「An Essential Guide to the 17 Best Las Vegas Brewery Tasting Rooms」(Eater Vegas, 2024年9月) - Hop Nuts BrewingがダウンタウンArts District初のブルワリーであること、定番ビール18b Pale AleとThe Golden Knightに関する記述
-
「An Essential Guide to the 17 Best Las Vegas Brewery Tasting Rooms」(Eater Vegas, 2024年9月) - CraftHaus Breweryの創業背景(欧州旅行で着想)とベルジャンサイゾン常設、UNLV公式ビールRebel Spirit Golden Aleに関する記述
-
「An Essential Guide to the 17 Best Las Vegas Brewery Tasting Rooms」(Eater Vegas, 2024年9月) - Beer Zombies Brewery(旧Tenaya Creek)でTenaya Creekの買収統合経緯と提供ビール(Bonanza Brown AleやZombie Duck Hunter IPAなど)に関する記述
-
「Complete Guide to the 18 Best Las Vegas Breweries」(Boozing Abroad, 2023年更新) - Tenaya Creek BreweryのピルスナーがGABF金賞を受賞した実績とユニークな技法のビール(Montana Yellow Cake Singing Frog)に関する記述
-
「Complete Guide to the 18 Best Las Vegas Breweries」(Boozing Abroad, 2023年更新) - Ellis Island Breweryが1988年創業で年間100万杯以上を提供し、6種類の定番スタイルのビールを醸造していることに関する記述
-
「Complete Guide to the 18 Best Las Vegas Breweries」(Boozing Abroad, 2023年更新) - Ellis Island Breweryの雰囲気(ストリップ近くの穴場)と価格(6種フライトが6ドル、1杯$2.50程度)に関する記述